教員紹介教員紹介

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造形学部 スマートデザイン学科
准教授
奥村 健太 Kenta Okumura
メディア情報処理/感性工学
身体知
計算機に関する技術を用いて、人の高度な技能の特徴から、その人らしさの理由を解明する研究をしています。
奥村 健太

プロフィール

所属
造形学部 スマートデザイン学科
造形学研究科 デザイン学専攻
役職・職名
准教授
最終学歴
名古屋工業大学大学院情報工学専攻博士後期課程 修了
学位
博士(工学)
研究キーワード
音楽情報処理/感性計測評価/機械学習、知的システム、知能情報処理/パターン認識、画像処理、コンピュータビジョン、視覚メディア処理、音メディア処理、センシング
所属学会
情報処理学会
研究テーマ
- 芸術技能の育成支援・既存事例解析・未知事例生成
- 工業技能伝承のためのセンシングと育成教材の開発
- 個人認証に関するセンシングとアルゴリズムの研究

研究・活動紹介

音楽情報処理

<演奏特徴分析>
本研究では西洋音楽の鍵盤楽器演奏を主な対象として、特定の演奏者が持つ暗黙知に寄与する要因を一般的な情報の組合せに基づく形式知として体系的に説明する手法を提案しています。 演奏者は楽譜の指示から楽曲の意図を解釈し、楽器の操作に相応しい表情を付与しています。 同一の楽曲では指示内容も共通ですが、指示をどう解釈して楽器の操作に反映するかは演奏者の暗黙知に依存するため、実際の演奏に付与される表情は演奏者ごとに異なります。 特定の個人がどのような条件でどのような行動をするのかを自然言語などに依存しない一般的な情報に基づいて記述できれば、個人に固有の特徴と、それに寄与する要因を、客観的に説明できるようになります。
本研究ではさらに、演奏者の楽曲解釈に寄与した要因を客観的に説明し、演奏間の表情の類似性を比較する用途への応用も実施しました。特定の人間の経験や勘などに依存せず、特定の自然言語を使用することによる表現の偏りにも左右されないことを特徴としています。演奏の指示と実際に付与された表情との因果関係を、データのみから分析することが可能なツールを提案する取り組みです。評価実験からは、演奏間の表情の類似性についての人間の主観に準じる分析結果を、客観的な指標を伴って自動的に獲得可能であることが示されています。

<自動演奏表情付け>
とくに鍵盤楽器演奏においては、上記の研究で得られた技術をもとにした応用研究を実施しています。 その一例には、任意の楽譜から人間らしい表情を付与した演奏を生成する「自動演奏表情付け」タスクがあります。
既存の類似研究の多くでは演奏の生成過程でシステムを実行する人間の意図が入り込む設計となっていますが、本研究で提案したシステムはそうした恣意性を徹底して排除することを設計思想としています。表情づけに使用する元の演奏者が残した特徴をそのまま反映しつつ、未知の楽曲の演奏でも最も高い確率で自然性を保つような最適な表情を自動的に付与できることに特徴があります。評価実験からは、元の演奏が備える表情の品質を多様な楽曲において反映できることや、特定の演奏者が持つ表情の特徴を再現した演奏を生成可能であることが示されています。また、本研究の過程で実装されたデモシステムは、2013年に開催された国際的な自動演奏生成システムによるピアノ演奏コンテストの自律演奏システム部門に出場し、優勝の評価を獲得しています。

<演奏技能教育支援>
上記の研究で得られた経験をもとに、近年では楽器の種類に制約されないセンシング手法の開発を進めています。 そのほか、社会的により多くの人にとっての楽器演奏体験の向上に資するための応用範囲を拡げており、研究としての発展性を充実させる取り組みを進めています。

技術・技能の伝承・教育

<溶接作業における技能的特徴の分析>
溶接はものづくりに必須の作業工程であり、少量多品種生産では将来的にも手作業が必要とされます。 しかし現場の実態として技能の継承が難しく、次世代の育成に課題があります。 本研究では溶接作業の条件と品質の関係性を定量的に説明する枠組みの構築を目指し、 熟練者の技能的特徴を個人に依存しない形で集積することにより、適正品質となる条件の範囲を定量化する取り組みを進めています。

生体認証

<指紋認証におけるリスクの検証と評価>
生体情報を用いた本人認証は広く社会に浸透し、多くの人々が日常的に使用しています。 とくに普及した指紋認証用として近年流通するセンサの多くは小面積化が進んでおり、得られる生体情報は制約が厳しくなる傾向にあります。 デバイスの所有者本人を認証する利便性は高まっている一方、悪意に基づく偽装などによる攻撃へのリスクについての活発な議論はなされていない状況にあります。 本研究では安定性と再現性の高い偽装手段と攻撃方法を解明し、攻撃に対する汎用な耐性評価手法を確立する取り組みを進めています。

<虹彩認証普及のための認証装置とアルゴリズム>
虹彩パターンは指紋や顔に比べて安全かつ高精度な認証が可能であることから生体認証要素として理想的ですが、一般に充分普及しているとはいえない状況にあります。 その原因として挙げられるのは、既存の虹彩認証システムが複雑な装置を用いることによる導入の難しさや、至近距離での入力画像の撮影を求めることによるユーザビリティの低さです。 撮影された画像から個人の特徴を記述するには、正確な虹彩領域分離が不可欠です。 しかし小型でシンプルな撮影装置を用いつつ撮影距離の制約を排除することを目標とすると、既存手法が前提とする瞳孔の絶対的明度が不安定となるために虹彩領域分離の困難さが問題なります。 そこで本研究では、そのような条件でも安定な虹彩領域分離を可能にする手法の提案を目的としています。 評価実験からは、提案手法が従来対応困難な画像においても安定な虹彩領域分離を実現すること、そして既存手法に比べて全面的により優れた認証性能を有することが示されています。 また、新規に提案したノイズ除去手法を併用することで、虹彩領域の輪郭が曖昧な場合でも高精度な認証が可能となることも示されています。

教育関連情報

担当科目

スマートデザイン概論、人間中心デザインI、システムデザイン基礎、コミュニケーション学、オープンイノベーション論、知能プロダクトプロトタイピングI、知能プロダクトプロトタイピングII、AI研究専門ゼミナールI、AI研究専門ゼミナールII、卒業研究、情報システムデザイン論(大学院)、先進システムデザイン論(大学院)

社会活動

学会委員など

情報処理学会音楽情報科学研究会・運営委員(2017-2020)
論文査読(情報処理学会、電気学会など)

研究業績情報

論文・特許・受賞歴など

Researchmap(下記リンク先)を参照

連絡先

メールアドレス

6b3039[at]asu.ac.jp

居室

2号館3階 2306室

研究支援室の連絡先情報

0564-48-4801 kenkyu[at]asu.ac.jp